日本イオン交換学会誌
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一般論文
抽出クロマトグラフィーに用いる含浸吸着材への表面処理が吸着・溶離挙動に及ぼす影響
名越 航平新井 剛渡部 創佐野 雄一竹内 正行佐藤 睦及川 博史
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2017 年 28 巻 1 号 p. 11-18

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抄録

抽出クロマトグラフィーによる, 高レベル放射性廃液(High Level Liquid Waste: HLLW)からのマイナーアクチノイド(Minor Actinides: MA)分離・回収プロセスへの適用が期待される含浸吸着材の改良を目的として, 含浸吸着材の基体として用いる多孔性SiO2粒子の表面極性が吸着・溶離性能に及ぼす影響について検討した。本研究では, 多孔性SiO2粒子に種々の表面処理を施すことで表面極性を変化させたN,N,N’,N’-Tetraoctyl Diglycolamide(TODGA)含浸吸着材を作製し, 硝酸水溶液中におけるNd(III)の吸着・溶離挙動を評価した。多孔性SiO2粒子の表面極性を変化させることで吸着分配係数, 吸着速度, 溶離性能の何れも顕著に変化することが確認された。このことから, 多孔性SiO2粒子への表面処理は含浸吸着材の内部構造や極性を変化させ, 性能に影響を及ぼすことが明らかとなった。即ち, MA(III)の分離・回収プロセスに用いる含浸吸着材の最適化には, 細孔径, 粒子径だけでなく粒子の表面極性の制御が重要であることが示唆された。

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© 2017 日本イオン交換学会
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