2021 年 32 巻 1 号 p. 15-24
層状構造のイオン交換体である二チタン酸カリウムの高Na濃度下におけるSr吸着挙動を評価した。二チタン酸カリウムは共存Na濃度が高くともSr2+を吸着し,Na+が一定量以上共存すると,pHの上昇とともにSr分布係数が高くなり,Sr2+とNa+の吸着量が共に増加した。Sr吸着前後における液相のSrおよびNa分析,固相のX線回折パターン,IRスペクトル,ラマンスペクトル等から,二チタン酸カリウムは水と接触すると一部のTi-O-Ti結合が切断され結晶性が低下するが,層状構造を維持しており,層間にSr2+が,表面水酸基にNa+が吸着することが示唆された。平衡pH 12以上,平衡Na濃度40 mmol/L以上の領域におけるSr分布係数は,1.7×107 mL/g以上であり,既報のSr吸着剤と比較して高いSr吸着能を示した。