抄録
クロマトグラフィーによって効率よくリチウム同位体分離を行うために, 高いリチウム同位体効果を示すイオン交換体の開発が望まれている。本論文では, 上智大学において著者のグループにより研究が行われている無機材料の調製法, キャラクタリゼーション, イオン交換特性およびリチウム同位体選択性について解説する。研究の対象とした材料は, マンガン酸化物系イオン交換体, アンチモン酸, チタン・ジルコニウムリン酸塩系イオン交換体である。結果として, 有機イオン交換体の場合に比べて一桁以上大きなリチウム同位体分離効果が観測された。また, 有機イオン交換体を凌駕するような早いイオン交換速度を有する無機イオン交換体も見出された。