フッ素系イオン交換膜の膜素材ポリマーの特性と, 食塩電解用隔膜の膜構造について概説した。電解用隔膜には, 高い電流効率と低い電気抵抗, および高い機械的強度が要求される。これらを達成するため現状の工業用膜は, 多層の樹脂層をPTFE織布で補強した複合膜構造となっている。陰極側の樹脂層には, カルボン酸をイオン交換基とするポリマーのみが高濃度の苛性ソーダ中で高い電流効率を実現するため, カルボン酸ポリマーが用いられる。陽極側の樹脂層には, イオン導伝性の高いカルボン酸あるいはスルホン酸ポリマーが用いられている。また, より高度な複合膜設計に基づいて, 50%力性ソーダを直接電解で製造可能な膜も開発されつつある。加えて近年, 燃料電池の固体電解質としてフッ素系スルホン酸ポリマーの適用が期待されており, これらの進展についても述べる。