日本イオン交換学会誌
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マンガン酸化物イオンふるい結晶 (2) 電気化学的ホスト・ゲスト反応
加納 博文馮 旗大井 健太
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1997 年 8 巻 3 号 p. 166-179

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抄録
マンガン酸化物への水素イオンやアルカリ金属イオンの挿入/抽出はイオン交換反応だけではなく, 酸化還元反応で進行する。酸化還元反応はマンガンが比較的容易に3価と4価に変わりうることに起因する。このような性質は, 電気化学反応に応用できる。すなわち, マンガン酸化物を電極にし, ある特定の電位を印加することによって, イオンの挿入/抽出反応を制御することが可能となる。スピネル型マンガン酸化物電極によるリチウムイオンの電気化学的挿入/抽出反応を例に挙げ, 電気化学的ホスト・ゲスト反応の基礎について記述した。
スピネル型マンガン酸化物電極は優れたリチウムイオン選択電極として作用し, 電気化学的にリチウムイオンを挿入/抽出する。この反応機構はマンガンの3価/4価の酸化還元反応に基づいて説明できる。電位を掃引することによりリチウムイオンの挿入/抽出を制御でき, また, その移動過程を電気化学的に解析できる。
一方, バーネサイト型マンガン酸化物電極によるアルカリ金属イオンの電気化学的インターカレーションは, スピネル型マンガン酸化物のリチウムイオン抽出/挿入反応とは異なる機構により進行する。その機構は, 酸化還元反応とイオン交換反応が組み合わさったものである。
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