拡張されたNernst-Planckの式を用い, NaCl水溶液中の脱塩側イオン交換膜面に形成された境膜内のイオン輸送について解析した。境膜内の非無限希釈領域におけるイオン拡散係数はNernst-Einsteinの式より導かれた拡散方程式を用いて求め, 無限希釈領域における拡散係数には無限希釈における値を用いた。境膜内における対流速度は膜面方向に向かい, 液流速は電流密度とともに増加する。限界電流密度において膜面に無限希釈領域が形成され, この領域中で液は膜面に衝突したあと膜面から離れる方向に流動すると考えられる。境膜内イオン流束を拡散, 電気泳動および対流の項に分離すると, 電流密度に対する電気泳動の寄与は拡散の寄与より大きいことが認められる。限界電流密度において, 電流密度は膜面付近で局部的に上昇する。これは対流により膜面に供給されたイオンの一部が電気泳動と拡散によって膜中または境膜に移動し, 同時にこれらのイオンが電流を運ぶためと予想される。限界電流密度において膜面付近の電位勾配は著しく増大する。