福祉のまちづくり研究
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歩道の平坦性の実態把握とGISを活用したバリアフリーに関するデータベースの構築 : 札幌都心部を対象として
石田 眞二鹿島 茂久保 勝裕亀山 修一
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2005 年 7 巻 1 号 p. 29-37

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抄録

わが国では、道路は高度経済成長を支える重要な社会基盤として、車道を中心に急ピッチで整備されてきた。そのため、歩道は車道の付加構造物として設計、施工されることが多かったため、凹凸、急勾配が著しい歩道が数多く見られ、高齢者および身体障害者の円滑な移動に対する大きな障害となっている。平成12年に公共構造物における交通バリアの解消を目的として「交通バリアフリー法」が制定された。これを受けて、国土交通省は「道路の移動円滑化整備ガイドライン」を設け、バリアフリー化に対応した歩道の整備を進めている。本研究では、札幌市都心部の歩道を対象とし、平坦性測定装置(小型プロファイラ)を用いて歩道の縦断プロファイル測定を実施した。得られたプロファイルデータをGISに組み込み、歩道のバリアフリーに関するデータベースの構築を行った。これらのデータは、すべて数値データとして保存し、地理的に位置づけられているため、GIS上で勾配や段差の条件検索が可能となった。同様に札幌都心部の歩道のバリアフリー状況をMAP上で把握することができた。また、歩道のプロファイルと現場写真を添付し、視覚的に交通バリアの状況を表現することも可能とした。今後の課題は、歩道ユーザーと歩道管理者の両者にとって有益なバリアフリー情報システムの構築である。

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