社会言語科学
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初対面の相手に対する自己開示の日韓対照研究 : 内容の分類からみる自己開示の特徴
全 鍾美
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2010 年 13 巻 1 号 p. 123-135

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抄録

本稿は,日本と韓国の大学生16組の初対面会話にみられる自己開示に注目し,その内容的特徴を明らかにする.分析の結果,次の点がわかった. 1. 韓国語母語話者は日本語母語話者に比べ,初対面の相手に対して,より多くの自己開示を行う傾向がみられる. 2. 日韓ともに初対面の相手に対して,身の上関連・職業関連など,客観的内容の自己開示を,自分の感情・感想・評価などの主観的内容の自己開示より多く行うという共通点がみられる.しかし,韓国語母語話者は日本語母語話者に比べ,自分の感情・感想・評価などに関する自己開示を行う割合が高い. 3. 日本語母語話者の自己開示には韓国語母語話者のそれより,開示する内容と開示の際用いる言語表現が限られている.一方,韓国語母語話者は,具体的な内容の自己開示を行い,言語表現も豊富である. 4. 日韓の自己開示にみられる相違は初対面場面に対する意識・プライバシーに関する概念・自己開示の許容範囲など,両国の社会文化的規範の差によるものであることが明らかとなった.

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© 2010 社会言語科学会
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