2023 年 26 巻 1 号 p. 21-36
本研究はトランスジェンダー話者(特にトランスジェンダー女性)がいかに主体を確立し,再構築していくかをその言語行為を通して分析する.複合的なジェンダーアイデンティティを持つトランスジェンダー話者が言語実践をどのようにネゴシエート(交渉・談判・かけあい・切り抜ける・乗り越える)していくのか,身体の物質性との関係においてトランスジェンダー話者がマジョリティ社会でどのように個々のエイジェンシー(行為主体性)を確立し獲得していくのかをトランスジェンダー理論の枠組みで探る.