産業ストレス研究
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【特集 産業心理職は何ができるのか:企業の中での心理職の活用】
病気休業から職場復帰を目指すプロセスにおいて休職者のレジリエンス向上を目指す心理職の活動
榎本 正己
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2025 年 32 巻 2 号 p. 167-173

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抄録

 本稿では,メンタルヘルス不調による休業者の職場復帰への心理職の支援の実際を,「療養期」「回復期」「訓練期」「復職期」の段階に分けて報告する。

 療養期では「何もしない」ことを休職者が受け入れるための環境整備やネガティブ感情への対応を支援する。回復期では活動を徐々に増やし,セルフモニタリングを通じて自身の体調を把握する支援を行う。訓練期では,ストレス対処能力を向上させるための認知行動アプローチやポジティブ心理学の技法が用いられる。復職期では,復職者の自己効力感や有用感を回復するため,周囲のサポートや業務内容に対するフィードバックが重要となる。心理職による職場復帰支援は,復帰直前だけでなく初期から一貫して行うことで,休職者のレジリエンス向上や復帰後の長期的な職場適応に寄与すると考えられる。

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© 日本産業ストレス学会
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