日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2007年度年会
セッションID: G2-P02
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G2:マグマの発生・上昇・定置
高圧下におけるペリドタイト中の微量元素移動特性
*富永 愛子加藤 工久保 友明黒澤 正紀
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抄録

最上部マントル条件下(3GPa,1100°C)における地殻物質(バサルト)とマントルペリドタイトとの反応実験をマルチアンビル型高圧発生装置を用いて行い,元素移動特性の解明を行った.主成分元素の移動は,バサルトとペリドタイトの境界に形成される反応帯(Gar+Opx)により妨げられる.一方,バサルトに多く含まれる微量元素はペリドタイト深部まで移動し,その移動メカニズムは粒間拡散であると推定できた.そこで,微量元素のペリドタイト中(粒径約10μm)の有効拡散係数を求めた.その結果,一価の元素(Na,K,Rb)はその他の元素よりも拡散速度が4倍程度大きい事が明らかになった.以上のことから,ペリドタイトと地殻物質の反応過程において主成分元素と微量元素の移動特性は大きく異なり,また微量元素間においても差がでると考えられる.このような元素移動性の違いは地球内部の化学的不均一構造に重要な影響を及ぼすと示唆される.

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© 2007 日本鉱物科学会
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