地球化学・環境化学試料中の元素の化学状態(価数・結合状態)を決定すること(スペシエーション)は、その元素の挙動を解明する上で重要である。中でも、固相中の元素の状態分析に関しては、X線吸収微細構造(XAFS法)が有効な手法である。多元素混合系である地球科学・環境科学試料を分析する上で重要なことは、高元素選択性と高感度である。XAFS法は殆どの元素を対象にできる上に、高い元素選択性を持ち、光源として放射光、検出法として蛍光法を用いることで、ppmレベルのかなり高感度な分析が可能である。さらにXAFS法が魅力的な理由は、XAFS法が物質によるX線の吸収率を測定する単純な手法で、常温常圧下での実験が可能なため、発展的な分析が多数存在することである。本講演では、地球科学・環境試料への応用に有効なXAFS法の発展型と考えられる手法について、我々の研究例を紹介する。