抄録
粒界移動が進行する多結晶体では,粒界(GB)によって掃かれた領域において,鉱物-流体間の同位体平衡化が結晶内拡散のみによる場合に比べて素早く進行することが実験的に確かめられている(Nakamura et al., 2005; McCaig et al., 2006).このGB sweeping過程は,メタソマティズムや部分溶融体などにおける岩石-流体間の化学輸送の速度過程を支配している可能性がある.そこでダナイト-Niの系を例として最上部マントル条件で高温高圧実験を行い,適合元素の化学交換における上記過程の効果を検証した.実験時間内に粒界に掃かれた部分の体積は最大約50 %であり,このとき試料の平均NiO濃度は,粒界移動が起こらない場合の計算値の約4倍に達する.本発表では2次元拡散モデル(Mishin and Razumovskii, 1992)を用いた,定量的な解析結果を示す.