日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会2008年年会
セッションID: S2-06
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S2:岩石-水相互作用
海洋地殻の熱水変質作用と物質収支;オマーン・オフィオライトの例
*吉武 直哉荒井 章司石田 義人田村 明弘
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抄録
海洋リソスフェア内の熱水循環は、地球表層と地球深部を結ぶ物質循環の媒体として非常に重要である。北部オマーン・オフィオライト上部地殻、等方ガブロ露頭にて、熱水変質によって形成されたと考えられる黒褐色の岩石を確認した。ガブロ、ドレライトの構成鉱物のほぼ全てが脈状に非選択的に緑泥石に置換された岩石(ここではクロライト岩と呼ぶ)であり、強い熱水との関係を示している。壁岩では単斜輝石が角閃石、斜方輝石が角閃石と緑泥石の混合鉱物集合体によって一部交代されている。クロライト岩本体の全岩組成は壁岩に比べ異常にFeOに富み、SiO2、CaO、Na2O、K2Oが大きく減少する。また、REEパターンでは、壁岩はN-MORB型であるのに対してクロライト岩は同様のパターンでEuのみに大きな負の異常を示す。これらの元素収支の相互反応の詳細な条件を、文献の情報との比較などによって絞り込み、海洋リソスフェア内の熱水循環の全貌を推測する。
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© 2008 日本鉱物科学会
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