日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2010年年会
セッションID: S1-18
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S1:サブダクションファクトリー
噴火時のマグマ減圧履歴が噴火強度に与える影響-富士火山湯船第二スコリアの石基マイクロライトの意義-
*鈴木 由希藤井 敏嗣
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抄録

噴火時のマグマ上昇過程で,噴火強度が決定される段階や条件を調べるため,富士火山湯船第二スコリア(2200年前)を研究した.石基マイクロライトの組織を手がかりに,マグマ減圧速度の噴火を通じた変化や,個々のマグマの減圧履歴を調べた.噴火初期 (a)から終期(e)までを通して見ると,噴火の強度とマグマの減圧速度に正の相関がある.噴火終期に向かい,同時期に噴出したマグマの減圧速度の多様性が大きくなる.これは,1)火道横断方向に速度勾配が発生したこと,2)噴火最盛期(b)の後に,マグマ溜りの過剰圧が減少し,これにより一部のマグマが火道をゆっくりと上昇したこと,による.最終的に,二つの要因で,噴火強度が決定された.一つ目は,マグマの減圧速度の変化に応じ,上昇するマグマから気相が分離する効率が決定されたことである.二つ目は,火道径の変化が,マグマの上昇速度と相まり,マグマの噴出率を決定したことにある.

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© 2010 日本鉱物科学会
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