噴火時のマグマ上昇過程で,噴火強度が決定される段階や条件を調べるため,富士火山湯船第二スコリア(2200年前)を研究した.石基マイクロライトの組織を手がかりに,マグマ減圧速度の噴火を通じた変化や,個々のマグマの減圧履歴を調べた.噴火初期 (a)から終期(e)までを通して見ると,噴火の強度とマグマの減圧速度に正の相関がある.噴火終期に向かい,同時期に噴出したマグマの減圧速度の多様性が大きくなる.これは,1)火道横断方向に速度勾配が発生したこと,2)噴火最盛期(b)の後に,マグマ溜りの過剰圧が減少し,これにより一部のマグマが火道をゆっくりと上昇したこと,による.最終的に,二つの要因で,噴火強度が決定された.一つ目は,マグマの減圧速度の変化に応じ,上昇するマグマから気相が分離する効率が決定されたことである.二つ目は,火道径の変化が,マグマの上昇速度と相まり,マグマの噴出率を決定したことにある.