伊豆ボニン島弧北部、伊豆半島南端に位置する南崎火山は0.43Maにベイサナイト質溶岩を噴出した。ネフェリンの存在など島弧的でない岩石学的、地球化学的特徴は以前より知られている。噴出物は塊状溶岩、層状溶岩、スコリアに分かれる。全岩化学組成は未分化なマグマを示唆する。しかし、Sr, Ba, Ti, Zr組成には噴出物による違いが見られ、部分溶融の程度の違いが反映していると考えられる。微量元素、希土類元素組成および鉱物組み合わせ(かんらん石+単斜輝石)は起源物質がカーボナタイト質マグマに汚染されたマントルであることを示唆している。