226Raはウランの採鉱や深層地下熱水の揚水などに伴い、環境中に放出される物理的半減期1600年の可溶性放射性核種である。地下水中の226Ra濃度は塩濃度と正の相関があり、塩分による226Raの固相分配抑制効果が、226Ra濃度の規定因子として挙げられている。地層構成鉱物として普遍的に認められる粘土鉱物は、陽イオン交換容量と反応比表面積が大きく、地下水中における226Ra濃度の塩濃度依存性を支配する可能性がある。しかしながら、粘土鉱物に対する226Raの吸着反応は必ずしもイオン交換的でなく、226Raの地下水中における挙動評価を難しくしている。そこで本研究では、陽イオン交換容量(CEC)の異なる粘土鉱物に対する、226Ra吸着量の塩濃度依存性を調べ、そのメカニズムの解明を試みた。さらに、粘土鉱物の種類や含有量の違いが、地下水中の226Ra濃度の塩濃度依存性に与える影響を考察した。