シリカ鉱物は,地球表層において様々な多形,結晶形態,結晶学的性質を示す。天然の酸性熱水変質生成物や,珪藻土を出発物質とする熱水結晶化実験などによって得られたシリカ鉱物について,形態や結晶学的性質などを比較し,形成条件と結晶成長過程について議論した。酸性熱水変質生成物では,非晶質シリカや結晶化度の異なるシリカ鉱物相が,原岩の石基/斑晶組織に対応している可能性がある。ほぼ完全な非晶質シリカである珪藻土を用いた熱水結晶化実験の結果,温度,実験期間に応じてOpal-CT結晶と思われる球状のlepispheres粒子の集合体が形成し,次いで自形の石英結晶が晶出した。これらの結果より,シリカ鉱物の形態や結晶学的性質には,それらの形成に関与した熱水流体の主にpH条件などの液性や温度が大きな影響を与えていると考えられる。