日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2012年年会
セッションID: S2-09
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S2:岩石−水相互作用
分光計測による地殻流体の臨界現象と臨界点の観察に関する実験的研究
*関口 知寿平野 伸夫岡本 敦土屋 範芳
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抄録

 本研究では臨界現象の観察と臨界点の決定を目的として,臨界点付近のH2O, CO2, C2H5OHの分光計測を行った.またH2OとC2H5OHの場合,流体を透過する光の強度は臨界点付近において急激に減少した.どちらの試料流体も,透過光の強度が最小になるときの温度・圧力はそれぞれの流体の臨界点と一致した.H2Oの臨界点の実験値は,374.0 - 375.7ºC,21.86 - 22.29 MPa (文献値: 374.15ºC,22.12 MPa),C2H5OHの臨界点の実験値は,242.4 - 243.1ºC,6.04 - 6.11 MPa (文献値: 243.4ºC,6.14 MPa)となった.また,CO2の臨界点の実験値は,31.8ºC,7.37 MPa (文献値: 31.04 ºC,7.37 MPa)となった.臨界温度および臨界圧力の実験値と文献値の誤差はそれぞれ最大で1.6°C,0.3 MPaであった.臨界点の実験値が文献値と比較的よく一致したことから,分光計測を用いた臨界点の測定方法は有効であるといえ,多成分地殻流体の臨界点の測定への応用が期待できる.

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© 2012 日本鉱物科学会
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