抄録
福島第一原子力発電所の事故により環境中に放出された放射性セシウムは土壌中の粘土鉱物に強く吸着するほか、様々な化学形で放射性セシウムが土壌に保持されていることも明らかとなってきた。そこで本研究では、粘土鉱物組成が放射性セシウムの吸着形態に与える影響について定量的に理解することを目的とした。 連続化学抽出の結果、1M酢酸アンモニウムとのイオン交換により脱離する放射性セシウムの割合が15%近くあり、他のサンプルに比べて2倍近い値を示すものが見られた。この試料はマスコバイトが特徴的であった。一方でカオリナイトが粘土鉱物の主な成分である試料では、イオン交換成分は4~8%程度であった。これらの結果は、10Å層状ケイ酸塩のfrayed-edge siteに強く吸着するという従来の知見とは異なるものであった。このイオン交換性成分の量と鉱物との関係性について、鉱物の含有量や風化具合などの観点から考察した。