抄録
北部フォッサマグナ地域には中新世以降の火山岩が多数分布しており,その地球化学的水平変化はその直下のマントルの化学組成の影響を受けていると考えられる.Nd同位体比の異なる火山岩は大きく2つのグループに分けられ,それぞれ特定の分布域を持っている.Nd同位体比の低いグループは北部フォッサマグナ地域の西端および東端の北部に,Nd 同位体比の高いグループは中央部から南部にかけて分布している.HFS元素はおおむねMORB的であるが,低Nd同位体比グループの火山岩はZr/Nb比やHf/Nb比が低く,E-MORB的である.前者は相対的に肥沃なマントル,後者は枯渇的なマントルに由来すると考えられ,フォッサマグナ形成時に中央部に枯渇的なアセノスフェアが中央部に貫入したことを示唆している.