抄録
南極の雪に含まれる微隕石の鉱物学的特徴,有機物の構造的特徴,大気圏突入時の最高到達温度の関係を検討した。本研究で分析した9個の微隕石のうち4個はGEMSやエンスタタイト・ホイスカを含む無水微隕石であり,5個は含水微隕石である。無水鉱物中のソーラーフレアトラックの有無,含水鉱物及び炭酸塩鉱物の分解の有無にもとづいて,微隕石の大気圏突入時の最高加熱温度を推定した。無水微隕石の場合,>600℃に加熱されたと推測されるのに対して,含水微隕石の場合は,<600℃に加熱されたと推測された。すなわち,無水微隕石は含水微隕石よりも大気圏突入速度が大きい傾向があったと考えられる。両者は鉱物学的に異なるだけでなく,有機物の構造的特徴にも違いがあった。本研究結果は,両者は軌道要素の大きく異なる母天体起源であるという説を指示している。