抄録
有馬型温泉水の湧昇域については,模式地である有馬温泉のほかに,紀伊半島が知られており,断層に沿って深部から上昇すると考えられている.しかし,それらの起源や上昇過程,特に地殻との相互作用についてはいくつかの可能性が指摘されているものの,未解明な点が多い.
一方,島弧火山岩の化学組成は,マグマ生成時のスラブからの寄与や,マントルでの生成条件を介し,スラブの分布,熱的・化学的性質とその変遷を記録していることが分かっている.本研究では,火山岩との対比に基づき,紀伊半島に湧出する温泉水を用いて,その起源や上昇過程を制約し,有馬型温泉水の成因やテクトニクスを含めた地質構造との関係を議論する.