抄録
本研究では,1GPaの圧力下における1000-1450℃・10分から115時間の温度ー時間領域でのグラファイト合成実験より石墨化の新しいカイネティックデータを報告する.四万十帯・日高変成帯中の堆積岩から抽出した天然炭質物の結晶度は温度と時間の増加とともに,アレーニウス則に従いグラファイトへ変化する.この実験データを基に,我々は274 - 334 kJmol-1 の有効活性化エネルギーをアレーニウスプロットより得た. この値は,過去の実験より大幅に低い値であり,地質学スケールの変成反応(300-800℃)と継続時間(数万~数百万年)を考慮した場合でも,石墨化プロセスを説明できることを示唆している.