抄録
熱水変質物を含む噴出物中の個別火山灰粒子に対して,SEM-EDSとXRDを用いて鉱物組み合わせの決定と鉱物組織記載を行った.対象は十勝岳北西斜面の4.7kaグラウンド火口火砕流堆積物(Gfl-0),3.3kaグラウンド火口火砕流堆積物(Gfl-1, Gfl-2),1926年噴出物(岩屑なだれ堆積物Unit A, 熱水サージ堆積物Unit B, 岩屑なだれ堆積物Unit C)である.噴出物は,変質鉱物を含まない未変質な火山灰,未変質部と変質鉱物が共存するおよび変質鉱物のみからなる変質した火山灰からなる.変質した火山灰の変質鉱物組み合わせは,シリカ鉱物(sil),シリカ鉱物-ミョウバン石±カオリン鉱物(sil-alu±kl),シリカ鉱物-カオリン鉱物(sil-kl)の3タイプである.いずれの噴出物も,火山灰中の変質鉱物組み合わせは比較的低温条件を示す(150℃-250℃).変質火山灰の多くは弱変質であり,未変質部を残している.この特徴は,ごく短期間,比較的低温で酸性の熱水が岩石と反応したことを示している.従って,十勝岳では短期間で熱水系が消滅し,反応が不完全になると考えられる.