長野県松本市安曇地区(旧安曇村)の白骨温泉は、江戸時代前期、将軍徳川綱吉の時代に開湯した、著名な温泉である。温泉の湧出口の周囲に炭酸カルシウムが沈澱して高まりをなす噴湯丘と、湧出口付近の湯だまりにできる球状(直径1-10mm、最大40mm)の炭酸カルシウムである「球状石灰石」は、その特異な形態から古くから注目され、1923年に国の天然紀念物となり、1952年には国の特別天然記念物に指定されている。 しかしながら、その岩石鉱物学的な性質はほとんど明らかにされていなかった。今回、松本市教育委員会の委嘱を受け、特別天然記念物保存管理計画策定委員となり、環境省と文化庁の許可を得て調査することができたので、その結果について報告する。