日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2017年年会
セッションID: R5-13
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R5:地球外物質
Asuka 12209アングライト中カンラン石外来結晶の形成環境
*三河内 岳山口 亮
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抄録

Asuka 12209アングライト(Asuka-881371とペア)には最大4 mmに達するカンラン石外来結晶が含まれている。これらの外来結晶は均質なコア組成を持つが、その組成は粒子ごとに異なる(Fo90-83)。今回、カンラン石中に含まれる微小な包有物を調べたところ、Fe-Ni金属が含まれることを発見した。このことは、酸化的な特徴を示す石基部分とは異なり、カンラン石外来結晶が還元的な環境下で形成されたことを示している。カンラン石中のFe/MgとFe/Mn比を調べたところ、外来結晶には両者に比例関係が見られたことから、元々Mgに富んだカンラン石が様々な度合いの酸化を受けたことが示唆される。また、いくつかのカンラン石外来結晶には各種の変形組織が見られ、衝撃変成により形成された可能性がある。この場合、強い衝撃変成によりショックメルトが形成され、その中に衝撃変成度合いの異なる外来結晶が取り込まれた後に、石基が結晶化したことになる。しかし、その他の可能性として、カンラン石外来結晶の変形組織が母天体中マントルで形成されたことも否定できない。

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