日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2017年年会
セッションID: S1-P02
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S1:火成作用に関する物質科学の新展開(スペシャルセッション)
灰長石巨晶の包有物から探る島弧マグマの揮発性成分:佐渡島小木半島産灰長石巨晶を例として
*越後 拓也西間木 志野星野 美保子木股 三善清水 雅浩齋藤 静夫西田 憲正
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抄録

An成分(CaAl2Si2O8端成分) に富むCa-rich斜長石で、粒径が1cm以上の粗粒な斜長石斑晶は「灰長石巨晶」と呼ばれ、日本列島の玄武岩~安山岩に多数産出する特徴的な鉱物である。今回、日本列島の背弧に位置する佐渡島小木半島に産する灰長石巨晶から揮発性成分に富むメルト包有物を発見したので、その分析結果を報告する。メルト包有物をFE-EPMAで分析した結果、SiO2量は48–56%の範囲を示し、Cl量は0.01–0.12%の範囲を示した。また、メルト包有物中のSiO2量とCl量は正の相関を示していた。塩素に富むメルト包有物は沈み込み帯の火成活動を特徴づける存在であり、その起源は沈み込むスラブからマントルウェッジに供給されたものと考えられている (e.g., Wallace 2005)。本研究の分析結果から、佐渡島小木半島に算出する灰長石巨晶は、沈み込むスラブから離脱した揮発性成分に富む環境で結晶化した可能性が示唆された。

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© 2017 日本鉱物科学会
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