抄録
岡山県北房産nakauriiteは, 蛇紋岩中の脈あるいは表面にcalcite, magnetite, aragoniteなど共に産し,その理想式は(Mg,Ni,Cu)8(SO4 )4(CO3)(OH)6・48H2Oで示されるが,北房産はSは含まれずMgに富んでいる.格子定数は中宇利産とよく一致している.単結晶X線回折データの精度が低く、格子定数は確定できていないが,候補として例えばa=9.591, b=72.87, c=6.189 A, 直方晶系のC格子が得られた.この格子定数を用いて取得した回折強度データに対して,charge flipping法を用いて構造の導出を試みた.その結果、nakauriiteは(010)面と平行に配列したMgO6八面体レイヤーが,層間のCO3ないしH2Oを介して約7.3A間隔で積層した構造であることが示唆された.