抄録
本研究では,日本における自閉スペクトラム症児を対象としたソーシャルスキルトレーニングに関する研究を展望した。データベース検索と6つの選定条件によって,分析対象となる18編の論文が選定された。選定された論文に関して,「指導場面」「標的スキル」「指導方法」「研究デザイン」「指導効果の般化・維持」について分析し,その現状と課題を明らかにした。また,先行研究より,指導効果の統計による前後比較の未実施や統制群の未設定,指導効果の般化・維持の検証不足といった課題が指摘されていた。本研究は,それらの課題の進捗について検討したところ,近年の研究によって解消されつつあるものの,いまだ十分でないことを指摘した。今後,日本における研究動向をより広く把握し,信頼性の高い研究知見をもたらすためには,論文選定にハンドサーチを用いることや複数名による分析を行うことが必要である。