抄録
日本の大学生・大学院生39名を対象として英語と日本語の読み書き検査および音韻能力,自動化能力,視覚認知能力,語彙力を評価する認知・語彙検査を実施し,英語を苦手とする学生の認知能力と日本語の読み書き能力との関連性について検討した。その結果,外国語としての英語であっても,読み書きと英語の音韻能力の間には強い関連性が示されたと同時に,英語を苦手とする学生は,特に音素単位での音韻認識を必要とする課題で低成績を示した。一方で,英語または日本語,あるいはその両方を苦手とする学生それぞれにおいて,低い認知能力の種類や程度には乖離がみられた。また,日本語では問題がなく英語のみで読み書き成績が低く,認知面でも弱さがみられた対象者が複数存在したことから,今後,環境要因や学習量では説明できない外国語としての英語の読み書き困難について知見を蓄積し,そのアセスメントや合理的配慮について検討していく必要性が見出された。