LD研究
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大学生を対象とした自閉スペクトラム症疑似体験を通したインクルージョンプログラム(Inclusion Program through ASD Simulation: I-PAS)の効果
木原 陽子石川 信一
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2025 年 34 巻 1 号 p. 55-67

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抄録
自閉スペクトラム症(ASD)がある者はQOLの低さ,二次障害や併存症のリスクが問題となっている。そこで本研究では,教育と疑似体験による介入(Inclusion Program through ASD Simulation: I-PAS)の,ASDに対するスティグマ軽減の効果を検討した。介入は,大学生54名(実験群26名,統制群28名)を対象とした。実験群はASDがある者と健常者との類似点や支援方法についての講義と,視覚鈍麻,聴覚過敏,触覚鈍麻状態での作業による疑似体験を組み合わせたI-PASを,統制群は実験群と同じ講義と通常の感覚状態での作業を実施した。結果,I-PASによる,ASDがある者と関わる場面に対する嫌悪感情の低下,場面後のASDがある者への今後の接近欲求の改善が示唆された。合理的配慮が義務付けられた現状を踏まえると,本研究の大学における有用性が示唆される。
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© 2025 一般社団法人 日本LD学会
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