抄録
ディスレクシアの評価・診断には標準化された検査を用いることが必須であり,KABC-Ⅱ読み尺度と稲垣ら(2010)のガイドラインの音読検査(単音連続読み,有意味語と無意味語の単語速読,単文音読の4検査;以下,速読検査)が有用である。適切な心理検査バッテリーの検証を目的とし,読み書きの苦手さを有する小中学生50名を対象に,KABC-Ⅱ読み尺度と速読検査の音読時間との関連を検証した。結果は,速読検査の有意味語,単文のみ読み尺度と負の相関が認められた。さらにKABC-Ⅱ読み尺度が正常である70以上と正常範囲内であっても,速読検査の音読時間が学年平均の+2SD以上の遅延が,単音80%,有意味語81%,無意味語91%,単文71%に見られた。両検査とも読みの正確性の評価ができ,加えてKABC-Ⅱでは読解力を,速読検査では流暢性を評価できることから,各検査の特性を理解し評価に用いることが重要である。