LD研究
Online ISSN : 2434-4907
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大学生の基礎的な読み書きスキルおよび学修困難感と学業成績や大学適応感の関連
荻布 優子川﨑 聡大岡野 由美子
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2025 年 34 巻 1 号 p. 74-85

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抄録
本研究では,大学生の大学適応感および学業成績に対する基礎的な読み書きスキル,主観的な学修困難感の影響を検討した。教育系大学生88名に基礎的な読み書きスキルとしてRaWF(高橋・三谷,2022)黙読課題・視写課題を集団実施,学修困難尺度(LDSP28;高橋・三谷,2022)・大学生用適応感尺度(大久保・青柳,2003)・累積GPAはGoogleフォームにて回答を求めた。結果,学業成績に対する読み書きスキル,学修困難感の影響は見いだされず,適応感は学修困難感の有無により有意な差がみられた。大学では目指すキャリアにより学修困難感は異なると考えられ,今回の結果にはカリキュラム特性も反映されていると考える。少なくとも大学生では学修の問題が顕在化してから直接検査の結果をもとに支援を検討するだけでなく,入学後から学修困難感を把握し,学生支援の一環として大学適応を見据えた予防的介入も有益である可能性が示唆された。
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© 2025 一般社団法人 日本LD学会
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