景観生態学
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原著論文
生物多様性への貢献を主眼とした企業緑地評価ツール及び簡易生物調査ツールの性能評価
岩渕 翼増澤 直三輪 隆小黒 芳生横山 潤中静 透
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2014 年 19 巻 1 号 p. 69-82

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抄録

生物の生息域が大きく縮小・分断化された都市域生態系では,企業緑地が重要な役割を果たす可能性がある.企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)は,地域の生物多様性に貢献できる企業緑地を推進するために,生物多様性に貢献する土地利用を推進するためのガイドライン,土地利用を数値評価する土地利用通信簿®,専門知識がなくとも簡便な生物調査ができる生物モニタリングシートの3つのツールを開発した.これらのツールは生態学の知見を基に作られているものの,通信簿で高得点の緑地は実際に生物多様性が高いのか,非専門家がモニタリングシートを用いて得た調査データはどの程度の質・信頼性を持つのか,という2点は別途,検証する必要があった.今回,業種の異なる5社に協力してもらい,全国8事業所において専門知識のない事業所の社員によるモニタリングシートを使った調査と,環境調査会社の生物専門家による調査を同日・同時間帯に実施し,得られたデータを比較した.その結果,通信簿点数とα多様性,また社員による調査と専門家による調査のα多様性およびβ多様性の間にはそれぞれ正の相関関係があることが明らかとなり,α多様性やβ多様性といった生物相の概況を評価する上では,地域の生物多様性に貢献する企業所有地の土地利用を推進するツールとしての妥当性が確認された.

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© 2014 日本景観生態学会
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