景観生態学
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特集「植生管理から生態系管理へ」
横浜市における「森づくりガイドライン」の運用状況と職員意識
内山 翼
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2015 年 20 巻 1 号 p. 15-28

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抄録

公園緑地における生態系管理の取り組みは各所でマニュアル化されているが,これまでその運用を担う自治体職員の意識や運用状況については明らかにされてこなかった.本研究では,横浜市が2013年に策定した生態系管理マニュアルである「横浜市森づくりガイドライン」について,ヒアリング調査とアンケート調査を通じて運用状況と職員意識に関する調査を行った.森づくりガイドラインに基づく管理作業が行われた緑地では,生物多様性保全や景観形成,安全性,快適性の確保,業務の効率化の面で成果がみられた.一方,アンケート調査では,多くの職員が森づくりガイドラインの内容を役に立つと評価しているものの,実際の作業に結びついた割合は半数にとどまっており,安全性や快適性の確保を目的とした内容が中心であった.今後,生態系管理を推進するには,以下の3点が重要であると考えられた.(1)職員の関心が高い安全性の確保や良好な景観の形成のための作業のきっかけとしつつ,作業手法の工夫により結果的に生物多様性の保全につながる手法を充実させること.(2)研修による生態学的基本知識の習得と作業事例の見学を組み合わせた人材育成を行うこと.(3)個々の公園緑地で管理方針となる保全管理計画を策定し,作業を行うのに十分な知識を有した職員の判断根拠を与えること.

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© 2015 日本景観生態学会
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