11 巻 (2006-2007) 1 号 p. 39-52
本総論では, 植生図の正しい利活用の基盤となる相観的基準と種組成的基準について比較・検討を行った.群集など種組成的基準により分類体系化された植物社会学的植生単位には, 階級的属性だけでなく, 群落地理, 群落形態, 群落動態といった属性もあり, それらについても考慮する必要がある.また, 植物社会学的植生単位を凡例として作成された植生図を利用して植生診断や立地評価を行う場合, 植生単位がもつ様々な属性の生態的特質についての理解が必要なことを述べた.しかし, 植生図を利用する側が, 植生単位がもつ生態的特質を必ずしも理解していないのが実情である.この問題は, 植生図の有効利用を図るうえで解決すべき課題でもある.さらに本論では, 植生図を利用した植生景観の類型区分にかかわる景観生態学的研究について論じた.すなわち, 植物社会学から発展した群植物社会学あるいは群植生学における植生複合単位の分類基準を示すとともに, 植生景観の基本単位である総和群集区について解説した.また, 筆者らがこれまで行った, 植生景観の空間構造や相互関係の解析にかかわる景観生態学的研究成果の幾つかを示した.