2021 年 12 巻 2 号 p. 106-112
要旨 二重課題の心身の負荷の把握のため,(1)段差昇降,(2)数字の逆唱,(3)(1)(2)の両課題を同時遂行した二重課題時における自律神経活動とPOMS 2 を用いて心理指標(気分の変化)を測定した.被検者は健常成人 18 名で,すべての課題に参加した.(1)の段差昇降前後の比較では,交感神 経活動指標は減少,副交感神経活動指標は増加し,「混乱・当惑」,「抑うつ・落ち込み」,「不安・緊張」の気分が減少した.(2)の数字の逆唱前後の比較では,交感神経活動指標は増加し,副交感神経活動指標は減少した.(3)の二重課題前後の比較では自律神経活動,気分の指標ともに有意差を認めなかった.二重課題では心身の負荷は軽い運動を取り入れれば軽減される可能性が示唆された.