2017 年 8 巻 1 号 p. 44-49
要旨: 強度の異なる運動直後の自律神経活動と,心理的活性効果を明らかにし,各々の単回運動後に得られる効果について検討した.対象は健常成人19名.自律神経活動は心拍変動解析を,心理効果は日本語版Profile of Mood States短縮版を用いた.自転車エルゴメータによる運動にて,Karvonen法による運動強度30%と60%の心拍数に達した後の測定値を運動前と比較した.30%負荷の運動後では副交感神経活動指標に上昇を,60%では交感神経活動指標に上昇,副交感神経活動指標では低下を認めた.心理指標は,30%の運動後で,「不安・緊張」と「抑うつ」に低下を認めた.よって単回低強度運動負荷では,副交感神経活動の亢進がみられ,即時的な心理活性効果も有することが示唆された.