2011 年 1 巻 1 号 p. 27-40
CLTを普及させるための提案が本稿の目的である。まず、英語教育の問題は、英語が使える日本人が育成できていないこと、および同学齢の多くが英語で落ちこぼれていることに集約される。この課題が生じた原因は訳読式授業にあり、この方式が日本中に普及した理由は、教科書検定制度と学校⽂法、そして類似した⼊試問題により生み出された訳読式のインストラクショナル・デザインが、異なる教師間に共有されてきたことにある。逆にCLT が普及しなかった理由は、インストラクショナル・デザインが提示されなかったためであり、今後、CLT を普及させるために、CEFR の日本への⽂脈化を図ることが重要である。日本に⽂脈化するCEFR の理念として重要なのは⾏動志向の言語教育観と生涯学習の動機づけであり、具体的なインストラクショナル・デザインとしては、振り返りのためのポートフォリオの使用を提案する。また、パフォーマンス指導する際に、学習者を萎縮させないことが重要である。