2016 年 36 巻 1 号 p. 17-23
【背景】近年,多くの患者がSNSに参加し,彼らの体験を共有し,互いにサポートできる効果を期待しているが,その効果の検証は十分になされていない.本研究では,SNS参加者のうち,一定の利用がある患者とない患者について,QOLの変化を2時点に渡って調査し,積極的なSNS活動によって,QOLが好転するかどうかを調査した.【材料】LifePalette参加者27名について,積極的な活動を行うエキスパート患者(7名)と,行わない一般患者(20名)について,2014年7月と2015年3月の2点でSF36v2によるQOLの調査を行った.【結果】初回において,エキスパート患者は一般患者より社会的QOLが有意に低かった(p=0.04).2回目の調査では,一般患者の社会的QOLは有意に低下し(p=0.05),逆に,エキスパート患者の社会的QOLは有意でないものの僅かに上昇し,実験終了時には,一般患者とエキスパート患者の社会的QOLの有意差がなくなった.【考察】社会的QOLが低いユーザがエキスパート患者となっており,SNSに登録していても,活動を行わない場合,社会的QOLは低下する.これにより,SNSに入ったならば,SNS活動に積極的に参加することが,QOL低下を防ぐ一助となる可能性が示唆された.