2020 年 39 巻 5 号 p. 257-266
就労者の健診データを活用した早期予防や重症化対策の取り組みが,厚生労働省や健保組合で進められている.40歳以上の就労者に対して,メタボリックシンドロームなど生活習慣病の予防のため特定健診が実施されており,それに関連した血圧,血糖,脂質,腹囲などの健診項目がある.しかし健診者にとって,改善か悪化か全体として年次変化を理解しやすいとは言えない.そこで,健保組合の男性就労者の健診データ3年分を用いて,生活習慣病に関連する健診項目から総合判断した健康スコアと因子分析から抽出した因子の年次変化を可視化するシステムを検討した.結果,マハラノビス距離を適用した総合的健康スコアと因子分析より抽出した高血圧,高血糖,高脂質の因子を3次元マッピングし,推移傾向を可視化することができた.