医療情報学
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不妊治療に関するtweetを対象とした感情分析:ソーシャルメディアにおける助成制度変更の影響調査
永井 孝尚田森 帆乃夏張 洪健青木 智大鈴木 哲平奥 裕嗣小笠原 克彦
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2021 年 41 巻 4 号 p. 169-180

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抄録

 2004年に開始された「不妊に悩む方への特定治療支援事業」は,より安心・安全な出産に資する観点から助成制度の一部が2014年に変更され,2016年に全体として制度変更が行われた.しかし,この制度変更によって,ソーシャルメディア上における世論はどのような変化が生じていたのかについては,これまでに調査が行われていない.本研究では,助成制度の変更によって,不妊治療に関するソーシャルメディア上の世論がどのように変化したかを明らかにすることを目的として,不妊治療に関連する用語「不妊」,「人工授精」,「体外受精」のいずれかを含むtweetを抽出し,その影響について分析した.助成制度変更前の2010年から2012年,変更後の2016年から2018年にTwitterで投稿されたtweetを対象とした.形態素解析を行い,単語ごとの出現回数を求めた後,共起ネットワークを作成し,得られた共起ネットワーク上の単語について,感情極性値を算出した.「不妊」または「体外受精」を含むtweetの分析で,助成制度変更後の2016年から2018年の共起ネットワークに費用に関する単語が描出されており,感情極性値もポジティブな変化がみられたことから,助成制度変更によるソーシャルメディア上での世論は,制度変更前よりも肯定的な変化が起こった可能性が示唆された.

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