2022 年 42 巻 1 号 p. 27-37
書誌データベースであるCiNii Dissertationsには,約60万件の博士学位論文が収載されている.このデータベースを用いて看護に関連した博士学位論文2,315編を抽出し,テキストマイニングの手法で量的・質的に調査した.その結果,1944年から2021年まで78年間の日本における看護学の研究動向と特徴が明らかになった.看護に関する博士学位論文数は,1990年代後半から緩やかに上昇し,2015年に158件とピークに達していた.これには,1992年に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に端を発する看護系大学院の加速度的な開設という政策的な背景が影響していると考えられる.研究テーマは,各年代に特徴的な動向や社会情勢を受けて変遷していた.また,テキストマイニング研究の発展のためには,学問分野ごとの辞書ツールの開発が望まれる.