2023 年 43 巻 5 号 p. 192-194
活動成果の概要
課題研究会の運営にあたり,幹事会を月1~2回の頻度で計14回開催した.以下,主な活動成果である.
1)研究会(勉強会)の開催
話題提供者が特定のテーマで報告し,意見交換を行う研究会(勉強会)を開催した.研究会に登録いただいている皆様より参加を得ている.以下に日時,話題,話題提供者を示す.
(1)「自治体保健福祉部門の情報化の経験から見えた行政・医療・福祉連携の課題と今後の方向性」,光城元博(JEITA),2022年4月21日(木)12時~13時
(2)「人それぞれ異なる思考や行動の“クセ”と医療情報処理」,香川璃奈(筑波大学),2022年5月12日(木)12時~13時
(3)「国際生活機能分類ICFの理念と活用事例」,三上史哲(香川大学),2023年2月4日(火)12時~13時
(4)「保健・医療関連行為に関する国際分類(ICHI)」,渡邊佳代(川崎医療福祉大学),2023年3月28日(火)12時~13時
2)第42回医療情報学連合大会公募シンポジウムの開催
テーマ:「栄養・運動・口腔保健・休養の自己管理―効果測定に求められる環境を考える」
日時:2022年11月18日(金)9:30-11:30 F会場(ハイブリッド)
【要旨】本人または家族等しか把握できない生活習慣への介入効果を長期的に測定するには多くの課題がある.これまで応用領域における実践と,技術面での取り組みは異業種,異分野で進められ,両者の接点は限られていた.そこで本シンポジウムでは運動疫学,口腔保健,臨床栄養の各領域における取組みの実際,課題と健康活動支援に向けた工業界,企業の取組み,モデリング技術の適応について,それぞれ報告を得て,課題共有をはかり議論を深めた.
(1)山田恵子:運動や運動器に関連した疾病予防や健康維持・改善に関するIoTを用いた取り組み
(2)宮沢春菜,小林二朗,吉田昌弘:口腔保健における自己管理データ活用を高めるための課題と可能性
(3)渡邊佳代,大井悠成,山﨑 幸,武政睦子:栄養領域における健康増進の取り組みと課題
(4)光城元博:栄養・運動・口腔保健・休養の自己管理―工業会の立場で効果測定に求められる環境を考える
(5)名田 茂:産業界における予防・未病領域でのデータ利活用の取り組みについて
(6)長瀬嘉秀・北山秀樹:健康領域におけるモデリングRM-ODPの概要と事例紹介
3)課題研究会主催講演会
健康情報からのエビデンス創出に向けて,専門家を招き講演会を開催した.講演1では統計学の国際的権威で縦断データ解析を専門とされるシカゴ大学社会学・山口一男教授より,近年の因果推論の議論から身近な倫理的課題まで,論理と倫理について講演いただいた.講演2では高齢者の急増,若年人口の減少に対応した医療・介護体制の整備の必要性など提言されている国際医療福祉大学大学院・高橋 泰教授よりWHO ICFの解説と生活行動の分析事例につき講演いただいた.参加者から日々の業務や研究テーマの観点から予想を超える数のコメントをいただき,課題研究会として学術と実践の両面から多くの学びと気づきを得た.
日時:2023年3月14日(火)14:00~16:45
場所:会議室AP虎ノ門Cルーム,およびWeb(ハイプリッド)
講演1「社会における医療健康情報とエビデンス:その論理と倫理」
山口一男(シカゴ大学ラルフ・ルイス記念特別社会学教授)
講演2「ICFの概要と医療福祉連携への応用」
高橋 泰(国際医療福祉大学大学院教授)
4)医療情報学会誌Forumへの投稿
研究会活動を紹介する以下の記事を医療情報学会誌Forumに投稿し,採択された.
青木美和(東京大学大学院 医学博士課程在学,医療データ活用基盤整備機構),山田恵子(埼玉県立大学),久野譜也(筑波大学 体育系),平井 啓(大阪大学大学院),佐々木敏(東京大学大学院),等々力英美(琉球大学).栄養と運動の観点から健康増進に必要な保健医療情報を考える.シンポジウムの活動報告.Forum,医療情報学 2023;42(6):273-276(採択2023年2月13日,発行2023年4月17日).
【要旨】日々の生活に欠かせない栄養や運動の観点から個人の保健医療情報に関連する分野の現状や課題について情報共有と意見交換をはかるため,シンポジウム「健康増進に必要な保健医療情報を考える~栄養と運動の観点から」を2021年9月29日に開催した(Web).第1部「健康行動を促進させる仕組み」では,健康増進を継続させる理論的なフレームワークとIoTを用いた運動介入への地域での取り組みについて筑波大学・久野氏,大阪大学・平井氏より話題が提供された.第2部「健康増進に必要な保健医療情報を考える~栄養疫学の観点から」では東京大学・佐々木氏より,論文を読む時,結果を評価する時の注意点など方法論の観点から話題提供され,討論を行った.