2021 年 44 巻 1 号 p. 1-6
要旨:同じ上顎欠損患者において2つの口腔内スキャナーを使用した際のデジタル印象採得を比較すること.
材料と方法:6人の上顎欠損患者の上顎をTRIOS3とTrophy 3DI PROの二つのスキャナーを用いてスキャンした.得られた3Dデータの面積を,3D分析ソフトウェアを使用して計算し,スキャナー間での差を調べた.
結果:残存歯についてはほとんどの症例でスキャンできたが,上顎欠損部分や軟組織部分の全てをスキャンすることはできなかった.得られた3Dデータの面積は,スキャナー間で有意差があった(p<0.05).
結論:上顎欠損患者において二つの口腔内スキャナーによるスキャンを試みたところ,全ての症例において,Trophy 3DI PROよりTRIOS3のほうがスキャン領域が広かった.しかしどちらも上顎の3Dデータを完全に得ることはできなかった.