幌満岩体は北海道日高変成帯の南縁部に貫入しているかんらん岩体で、多様なかんらん岩類より構成されており(Igi, 1953 ; Niida, 1974 ; Takahashi, 1991等)、地殻下部へ上昇してきたマントルダイアピルの断片であると考えられている(Ozawa & Takahashi, 1995 ; Ozawa, 2004)。岩体を構成するかんらん岩類のなかでBDHと呼ばれる岩石は、母岩の層状構造とは不連続にブロック状に産し、化学組成も母岩とは異なることから、岩体がダイアピルとして地殻下部へ上昇する過程で取り込んだ異質岩塊であると言われている(Takahashi, 1991)。この異質岩塊の起源の解明は、マントル内の不均質性の要因の解明につながり、幌満岩体の履歴を解明する上でも重要である。本研究では、BDHの岩石記載と主要元素組成の特徴から、その起源を考察する。