日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2005年 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G4-08
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G4:深成岩及び変成岩
カンラン石に含まれる含水鉱物包有物の顕微ラマン分光分析-残留圧力測定の試み
*水上 知行鍵 裕之Simon Wallis
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抄録

 化学結合の振動エネルギーに起因するラマンスペクトルは、原子間距離の微小な変化を連続的に抽出できるため、圧力スケールとして注目される。Sobolevら のダイアモンド中のコース石包有物の報告は、ラマンスペクトルによる圧力見積もりの地質学的有効性を示した。この方法は様々な鉱物に適用できると考えられるが、応用例はそれほど多くない。今回は、四国東赤石カンラン岩体のカンラン石に含まれる含水鉱物包有物(数10μm径)の顕微ラマン分析を行い、残留圧力の有無を調べた。  クリソタイルのピーク位置について内部の包有物が表面に比べて高い波数を示し、最大で1.5cm-1の波数差が見られた。この値を圧力差に換算すると0.6GPaとなる。分析上のシフト要因も検討しなければならないが、この結果は蛇紋石形成がある程度高圧条件であった制約となる。推定圧力は東赤石岩体のピーク圧力条件(3GPa以上)に比べて小さいが、カンラン石の強度が数GPaの圧力を保持できない可能性も考えられる。

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© 2005 日本鉱物科学会
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