地球内部の高温高圧条件下では,マグマ中への水の溶解度は増加し,それと同時にフルイド中へのケイ酸塩成分の溶解度も急増し,両者の性質は似てくることが知られている.このことからある温度圧力条件(第2臨界点)以上においては,含水マグマとフルイドの区別がなくなり,完全に混和した1相になることが予想されている.しかしながら,これまでの実験手法では様々な問題のために,地球科学的に重要なペリドタイト-H2O系の第2臨界点の温度圧力条件は不明であった.最近我々は,放射光を用いたX線ラジオグラフィ法と,単結晶ダイヤモンドカプセルを使った川井型高圧発生装置とを組み合わせた新たな実験手法により,ペリドタイト-H2O系の第2臨界点の決定に成功した.今回我々が開発した手法は,放射光を用いた含水系での高圧実験や,コアを含めたあらゆる地球内部物質の混和・不混和現象の解明等,様々な実験に応用可能である.