抄録
公益社団法人東京都臨床検査技師会(都臨技)は,2008年より都内の高校生を対象にSTI(Sexually transmitted infection:性感染症)予防教室を実践している.今回,STI予防教室終了後に実施したアンケート調査をもとに今後も効果的な予防教室を行うことを目的とし,性感染症に対する生徒の意識について検討を行った.研究の目的や内容に同意を得られた高校1年生から高校3年生を対象に,1,548名から回答を得た.STI予防教室に対する理解度や初めて知った事柄に関する分析から,現在の若年層は性感染症に対する知識が不十分であると推察され,早期の予防教育が重要であると考えられた.感染予防におけるコンドームの重要性については,学年,性別を問わず高い理解度を示す結果となった.自由感想からは,女子生徒では学年を問わず妊娠や出産への影響を心配する意見が多く,男子生徒では予防方法の実践に関する感想が多かった.検討より得られた生徒の意識やニーズの変化を捉えて今後の講演に役立てていきたい.